2023/01/26 16:00
寒中お見舞い申し上げます。 『セゾン・ド・エリコ』編集部です。
今回ご紹介するのは、『セゾン・ド・エリコVol.17』で掲載した北海道「界 ポロト」です。取材で訪れたのは、夏でしたが、今はこんな風景です。
とんがり屋根の湯小屋とポロト湖の眺め。屋根は銅板で色の変化が楽しめる。
◆北海道・白老温泉の湯浴みを楽しみ、ポロト湖が身近に
「界 ポロト」は2022年1月14日に北海道・白老町に開業、1周年を迎えたところです。ポロトとはアイヌ語で「大きな湖」を意味します。名前の通り、宿のどこにいてもポロト湖を身近に感じることができ、時間帯や季節によって刻々と変化する美しい湖の眺めに心が休まります。
「界 ポロト」は、アイヌ文化を尊重し、異なる民族との共生を体験できる宿であり、美しいアイヌ紋様がデザインとして活かされています。
なかでも特徴的なのは、とんがり屋根の湯小屋。これは伝統的なアイヌ文化の建築である丸太組みの三脚構造から着想を得ているそうです。
暖炉の温もりに癒され、ゆったりした時間を過ごせる。
ロビーの大きな暖炉も湯小屋のとんがり屋根と同様の形で銅板が張られているのが特徴。
夜になるとまた違った趣に。
また、館内にはたくさんの白樺が使われ、北海道の大自然の中にいるような心地よさが得られます。
白樺の林をイメージした、トラベルライブラリーではアイヌ文化にまつわる本が揃う。
すぐ隣には「ウポポイ(民族共生象徴空間)」があり、訪れるアイヌの歴史と文化をより深く知ることができます。
◆ポロト湖に面した客室と珍しいモール温泉の湯
客室はすべてポロト湖に面し、壁紙やクッションはアイヌ文様が施されている(22年6月撮影)
アイヌ民族の伝統的家屋チセ(家)から着想を得た客室は、四角い炉をイメージしたテーブルがあるのが特徴です。炉を囲んで団らんしたり、窓の外に広がるポロト湖の景色を眺めたり、心がなごむひとときを過ごせます。
露天風呂が付いた特別室では、ポロト湖を眺めながら湯につかることができる。
大浴場は「△さんかくのゆ」「○まるのゆ」の二つのお風呂で満喫できます。
「△湯」は、内風呂が露天風呂へと続いており、三角のデザインが印象的。
「△湯」の露天風呂。
「○湯」は洞窟の中にいるような空間
泉質は世界的にも珍しいモール(泥炭などに由来する腐植物を含むアルカリ性)温泉。太古の植物由来の有機物を含有し、色は茶褐色です。やわらかい湯で、肌がしっとりするので、「美肌の湯」といわれています。
「界」が提唱する「現代湯治」を存分に楽しめる温泉です。
湯上がり処では「イタドリ茶とほうじ茶のブレンドティー」「カシス酢」て喉を潤して。
「△湯」の湯上がり処で、現代湯治体操を。丹頂鶴のはばたきをイメージしたポーズも。
◆北海道の美味を堪能して!
夕食は、半個室の食事処で季節の会席料理を、熊が運ぶ先付から始まり、北海道の海の幸、山の幸がふんだんに使われた目にも楽しいメニューを味わえます。
熊と一緒に運ばれる先付「馬鈴薯海宝盛り」。
酢の物、八寸、お造りを盛り合わせた「宝楽盛り」は、料理には北海道の地になじみ深い動物が添えられ、、船形の器でアイヌ文化を表現。
特別会席のメインはブイヤベース仕立ての「毛蟹と帆立貝の醍醐鍋」がいただける。
特別会席では盛り付けも味もゴージャスな「毛蟹と帆立貝の醍醐鍋」がメインに。締めはチーズを入れてリゾットに。
ご当地朝食の和食膳も北海道ならではの食材と調理法で構成されています。
自家製豆腐を昆布醤油で、いくらの醤油漬け、がごめ昆布入り山わさび、鮭とじゃがいものすり流し鍋など、ごはんが進むおいしい総菜がずらり!朝からたっぷりいただいて一日を元気にスタートできます!
◆ご当地の文化を体験する「ご当地楽」では、「イケマと花香の魔除けづくり」を。
イケマと数種類のハーブをアイヌ文様が描かれた袋に包んで完成
アイヌ民族が魔除けとして日常的に身につけていた「イケマ」は、土のような香りがし、悪いものを遠ざける植物とされています。そのイケマとハーブが入った手作りのお守りは、旅の記念にぴったり。スタッフの丁寧な指導のもと、暖炉を囲んだ空間で作ります。
また、ひとり旅でのんびり過ごしたい人には、ご当地おつまみと地酒の部屋入れサービス、界の「ご当地おこもりグッズ」も用意されています。
地元の銘酒とおつまみをセットにした「地酒セット」も注文可能
滞在の合間に、静かなポロト湖畔をのんびりと散歩するのもおすすめです。
【界 ポロト】
アクセス:JR「白老」駅より徒歩約10 分
住所:北海道白老郡白老町若草町1-1018-94
料金:1名1泊¥31,000 ~
(2 名1 室利用時、夕朝食付き、税・サ込)
☎ 界予約センター050-3134-8092
◆「界 ポロト」に隣接「ウポポイ」でアイヌ文化の魅力にふれて
ウポポイ(民族共生象徴空間)は、国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園、慰霊施設により構成されています。
アイヌ文化の復興・発展の拠点として、また、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴となる空間です。
伝統的コタンのエリアでは、毎日、体験プログラムが多数開催される。
ウポポイはアイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」を意味し、プログラムの見学や参加によって、アイヌ文化を体験できます。
ムックリ(口琴)の楽器演奏。体験もできる
囲炉裏を囲んで、手仕事や暮らしの中で語られてきた物語や叙情歌などの実演もある。
フードコートやレストランでは、アイヌの伝統的な食材や調理法を用いた料理がいただけるのも魅力。「界 ポロト」からは歩いていけるので、ウポポイとセットでの旅を楽しめます。
【ウポポイ】
(民族共生象徴空間 ウアイヌコㇿ コタン)
住所:北海道白老郡白老町若草町2 丁目3
料金:大人¥1,200
定休日:月曜
※開館時間・休館日・料金の詳細はHP で確認
☎ 0144-82-3914(閉園日を除く9:00 ~ 17:00)
※詳細はHP でご確認ください。
撮影/山川修一 取材・文/垣内 栄
By セゾン・ド・エリコ編集部
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